借り入れの基礎知識

キャッシング総量規制を徹底解説!対象者や例外規定、上手な借入方法

急な出費で現金が必要になり、キャッシングの利用を検討している方の中には「総量規制」という言葉を耳にしたことがある方も多いでしょう。

借りたいのに借りられない制限」というイメージがある反面、「借りすぎを防止してくれる安全装置」という一面もあります。

この記事では、キャッシングの総量規制について、その内容や例外規定、上手な借入方法までわかりやすく解説します。

総量規制の基本〜年収の3分の1までしか借りられない理由

総量規制はなぜ導入された?その背景と目的

総量規制とは、個人が貸金業者から借りられる総額を年収の3分の1までに制限する制度です。

この規制が導入された大きな理由は、多重債務問題の解決にあります。

以前は、複数の貸金業者から際限なく借入ができてしまい、返済能力を超えた借入で苦しむ方が増加していました。年間の自己破産件数が20万件を超える年もあり、社会問題となっていたのです。

そのため、過剰な借入を防止し、返済能力に見合った金額に抑えることを目的に、この規制が設けられました。

改正貸金業法と総量規制の関係

総量規制は、2006年に成立した「改正貸金業法」の柱の一つとして導入されました。

この法改正では、主に以下の4つのポイントが含まれています:

  • 総量規制の導入(年収の3分の1を超える貸付の原則禁止)
  • 上限金利の引き下げ(グレーゾーン金利の撤廃)
  • 貸金業者の業務規制強化
  • 指定信用情報機関の利用義務付け

これらの規制は段階的に実施され、総量規制は2010年6月に完全施行されました。以来、多重債務者の数は大幅に減少し、自己破産件数も減少傾向にあります。

総量規制の対象となる貸金業者と借入

どんな借入が総量規制の対象になる?

総量規制の対象となるのは、貸金業法で定める「貸金業者」からの借入です。

具体的には:

  • 消費者金融(アコム、プロミス、アイフルなど)
  • 信販会社のキャッシング(クレジットカードのキャッシング枠など)
  • 事業者向け貸金業者からの個人向け融資

これらの貸金業者からの借入総額が、年収の3分の1を超えることができなくなります。

例えば、年収が400万円の方であれば、貸金業者からの借入上限は約133万円となります。

総量規制の対象外となる金融機関

一方、以下の金融機関からの借入は総量規制の対象外です:

  • 銀行信用金庫などの金融機関
  • 日本政策金融公庫などの公的金融機関
  • 証券会社
  • 保険会社

これらの金融機関は、貸金業法ではなく銀行法などの別の法律で規制されているため、総量規制の適用を受けません。

ただし、対象外の金融機関であっても、独自の審査基準があり、返済能力を超えた融資は行わない仕組みになっています。

総量規制の例外規定〜年収の3分の1を超えて借りられるケース

おまとめローンは総量規制の例外に

総量規制には、いくつかの例外規定があります。その代表的なものが「おまとめローン」です。

既に年収の3分の1を超える借入がある場合でも、借入先を一本化して返済負担を軽減するためのおまとめローンであれば、例外的に借入が認められます。

ただし、以下の条件を満たす必要があります:

  • 借換えによって返済負担が軽減されること
  • 新規の借入額が既存の借入残高の合計を超えないこと

これにより、高金利の複数の借入を一本化して、負担を減らすことが可能になります。

住宅ローン・自動車ローンなど対象外の借入

また、以下のような特定の目的のための借入は、総量規制の対象外となります:

  • 住宅ローン(住宅の購入・リフォームなど)
  • 自動車ローン(自動車購入資金)
  • 高額医療費のための借入
  • 高等教育(大学など)費用のための借入
  • 有価証券担保貸付
  • 不動産担保貸付

これらは、生活に必要不可欠な資金や、資産形成に関わる借入として例外扱いされています。

総量規制の確認方法〜自分の借入可能額を知るには

個人信用情報機関での確認方法

自分の現在の借入状況や、あとどれくらい借りられるかを知るには、個人信用情報機関で確認するのが確実です。

日本には主に3つの個人信用情報機関があります:

  • CIC(シー・アイ・シー)
  • JICC(日本信用情報機構)
  • 全国銀行個人信用情報センター

これらの機関では、自分の信用情報の開示を請求できます。開示請求には本人確認書類が必要で、有料(1,000円程度)です。

信用情報には、現在の借入残高や返済状況が記録されているため、総量規制との関係で借入可能かどうかの参考になります。

貸金業者に問い合わせる方法

もう一つの方法は、直接貸金業者に問い合わせることです。

貸金業者は、融資の審査の際に必ず個人信用情報を照会し、総量規制に抵触しないかを確認します。そのため、申し込み前に「現在の借入状況で融資可能か」を問い合わせれば、おおよその目安がわかります。

ただし、最終的な融資可否は正式な審査を経なければわかりませんので、あくまで参考程度と考えましょう。

総量規制がある中でも安全に借入する方法

年収証明書の準備と注意点

総量規制の範囲内で借入をする場合でも、年収証明書の提出が必要になるケースがあります。

年収証明書として認められるものには、以下のようなものがあります:

  • 源泉徴収票
  • 所得証明書(市区町村発行)
  • 確定申告書の控え
  • 給与明細書(直近2〜3ヶ月分)

年収証明書は、総量規制における借入上限額の算出根拠となるため、正確な書類を提出することが重要です。

銀行カードローンの活用法

総量規制の対象外である銀行カードローンを活用するのも一つの方法です。

銀行カードローンのメリットは:

  • 総量規制の対象外であること
  • 消費者金融に比べて金利が低めの傾向があること
  • ATM手数料が無料のケースが多いこと

ただし、銀行カードローンも審査があり、返済能力を超える融資は受けられません。また、銀行独自の融資基準として、「年収の30%〜50%程度まで」という上限を設けていることも多いです。

計画的な返済が可能な金額での借入を心がければ、総量規制を気にせず利用できる選択肢と言えるでしょう。

総量規制に関するよくある質問

総量規制オーバーしたらどうなる?

既に年収の3分の1を超える借入がある状態で、さらに貸金業者から借りようとした場合、原則として新規の借入はできません

貸金業者は信用情報機関に照会し、総量規制オーバーであることが判明した時点で、法律上、融資を行うことができなくなるからです。

ただし、上記で説明した例外規定に当てはまる場合や、銀行などの総量規制対象外の金融機関であれば、審査次第で融資を受けられる可能性があります。

複数の収入がある場合の年収計算

「本業とアルバイトの両方で収入がある」など、複数の収入源がある場合は、基本的に合算した金額が年収として計算されます。

ただし、以下の点に注意が必要です:

  • 継続的・安定的な収入であること
  • 証明書類で確認できる収入であること

一時的な収入や、証明できない収入は年収として認められないケースが多いです。

また、配偶者の収入は原則として合算できません。借り入れる本人の返済能力が審査の対象となります。


総量規制は一見すると「借りにくくなった」というイメージがありますが、本来は借りすぎを防止し、返済トラブルから消費者を守るための制度です。

自分の返済能力を適切に把握し、計画的な借入・返済を心がけることで、キャッシングを安全に活用できるでしょう。

急な資金ニーズがある場合は、総量規制の対象外となる銀行カードローンや、低金利の商品を比較検討することをおすすめします。

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